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朝日新聞より(99/03/11)
 交通事故で家族を亡くした関西や愛知、三重などの五十遺族が、被害者同士が体験を語り、支え合う場「TAV交通死被害者の 会」(代表・遠藤峰子さん)をつくった。二十二日に大阪市中央区大手前一丁目のドーンセンターで設立総会を開く。会は今後、心のケアを中心に被害者や遺族 を支える活動をするほか、運転手の責任の重さを訴えていく。TAVは「交通事故被害者」を意味する英語を略したもので、お互いの気持ちを一番分かり合える 遺族同士が行き来しやすいようにと、「全国交通事故遺族の会」(事務局・千葉県)から関西の遺族らが分かれてつくった。
 会員はいずれもここ数年の間に家族をなくした。副代表の奈良県河合町、法律事務所職員松岡隆浩さん(三九)の長女(当時四つ)と妻(三四)は一九九六年 六月、東京都の自宅近くで自転車に乗っていたところ突然開いた駐車中の乗用車のドアに倒され、対向車にひかれた。長女が亡くなり妻も重傷を負った。一家は 近所に住む加害者に会うことや周囲の無理解が耐えられず、奈良県に転居した。
 松岡さんは「車は殺傷能力のある凶器だということを、自覚して運転してもらえたら」と話す。
 TAVでは、検察庁や警察に捜査の徹底や被害者の保護を求めていくほか、安易に乗用車を運転する社会の風潮にも一石を投じたいという。
 
朝日新聞より(99/03/23)
 交通事故で家族を亡くした関西の遺族でつくる「TAV 交通死被害者の会」(代表・遠藤峰子さん)の設立総会が22日、大阪市内で開かれた。
 今後、心のケアを中心にお互いに支え合っていくほか、警察による捜査や司法制度の改善、車中心の社会からの脱却などを訴えていく。
 設立総会には、関西を中心に愛知や岡山などから約80人が参加。遠藤代表の挨拶のあと、3年前に大阪府美原町の学習塾経営者池田貢さん(49)が自らの経験を話した。
 「青信号だった」と主張した加害者を不起訴にした検察の処分を不服とし、独自に検証を重ねて検察審査会に「起訴相当」の議決を求める申し立てをした池田 さんは「加害者は赤信号だったとの確証を得た」という経緯を説明。「皆さんも自分が正しいと思うならがんばってほしい。」と呼びかけた。
 参加した弁護士からは、被害者側に捜査情報が公開されない現状や、交通事故の起訴率の低さ、量刑の軽さなどが問題点として指摘された。その後、お互いにつらい体験を話し合うことで心を癒していく「グループケア」などをした。
 同会は、事故で重い障害を受けた被害者の家族も対象にしている。
 今後、2ヶ月に1回の定例会で心の交流や情報交換などをしていくほか、警察や検察、裁判所、保険会社など関係諸機関への現行制度改善の働きかけ、裁判の支援などを柱に活動していく。
 
中国新聞より(99/05/19)
「交通死被害者の会が始動」
安心して子供送り出せる世に
車中心の社会 脱却呼び掛け
惨劇軽視の風潮に警鐘 支え合う輪を組織 相談を受け付け
 交通事故で家族を亡くした遺族や重度の障害を負った被害者らが支え合う市民組織、「交通死被害者の会TAV」(事務局京都市)が活動 を始めた。関西を中心に集会を重ね、事務局は、「被害者の心のケアを行うとともに、車中心社会に警鐘を鳴らして行きたい」と呼び掛けている。
 会の代表を務める遠藤峰子さんの長男=当時(10)=は5年前、横断歩道を渡っているときにトラックにひかれて亡くなった。トラックの運転手は略式起訴による罰金刑だった。
 家族を失った悲しみから、家族や夫婦関係が崩壊するケースもあり、遠藤さんは「周囲の安易な慰めや元気づけも負担になり、遺族達は疎外感を深めている。
 被害者同士が手をつなぎ、こころを分かち合っていきたい」と訴える。
 副代表の松岡隆浩さん(39)は三年前、当時四才の長女が亡くなった交通事故をめぐり、不起訴処分となった加害者を相手取って損害賠償請求訴訟を起こした。判決によっては、検察審査会に不起訴処分に対する不服申し立てを行うことも検討している。
 「人命を脅かす危険物を扱いながら、過失として処理され、社会自体も被害を軽く見る風潮にある。どんな情況で事故に遭ったのか、遺族が真実を知ることが難しい情況だ」と、松岡さんは指摘する。
 交通事故で毎年全国で一万人が亡くなり、負傷者は九十万人を超える。加害者に対する処分はどうか--。
 法務省によると、業務上過失致死事件の起訴率は1980年代以降、やや低下傾向にあるものの、ほぼ60%台で推移している。
 一方、業務上過失傷害事件については、87年、飲酒運転などの悪質な事案を除き、傷害の程度が軽微なケースは暖色的に運用すると、法務省が事件処理の方針を転換。それまで70%台だった起訴率は同年以降急速にていか、97年は13.9%となった。
 同省は「傷害事件は“一億皆免許時代”に市民が日常容易に犯しうるもので、軽微なものまで起訴すると国民の多数に“犯罪者”の烙印(らくいん)を押すことになり、刑罰のあり方として問題がある。
 会では、被害者支援、交通犯罪を取り巻く現行制度の改善、車中心社会からの脱却を目標に活動の輪を広げていく方針。隔月で開く定例会では、こころのサポートや情報交換、法律相談などが行われる。
 警察などの捜査当局に対しても働き掛けをしていくことにしており、遠藤さんは「岡山県内からも4、5件連絡があった。広島をはじめ中国地方全体にも活動を広げたい。安心して子供を外に送り出せる社会の実現が目標」と、呼び掛けている。
 
読売新聞(平成12年3月20日付:朝刊)
 「交通死被害者の会」22日で1周年 大阪で定例会開く
 交通事故犠牲者の遺族らで作る「交通死被害者の会」(TAV)が発足して、22日で1周年を迎える。関西だ けでなく、四国や中部地方にも広がる会員は約150人と、発足時の倍になった。被害者同士が支え、助け合い、裁判の傍聴や交通行政への働きかけに取り組ん できた。19日、大阪市中央区の大阪府立女性総合センターで開かれた定例会には約60人が出席、それぞれの思いを語り合った。
 会ではまず、代表の遠藤峰子さん(48)が「発足後、目まぐるしいほど多くの被害者から相談を受けた」と、1年間の歩みを振り返った。次期代表に選ばれ た田畑耕一さん(47)は「被害者支援、交通犯罪に関する現行制度の改善、車の台数を必要最小限にしていくための意識改革、3つの目標に向かって取り組ん で行きたい」と述べた。
 さらに、高速道路で大型トラックに追突され、小学校3年生の娘を亡くした兵庫県姫路市の両親らが体験をもとに、「突然、子供をもぎ取られてしまった」悔 しさ、やり場のない怒り、不誠実な加害者の対応、捜査への不満について語った。警察庁のまとめでは、今年2月末までの交通死者は全国で1394人。昨年同 期より40人多い。
悲しみ2重 いやされた
 「長男は交通事故、妻はがんで逝った」
 「自分の親にも話せないようなことでも、ここでは吐き出せるんです」発足直後からの会員である男性(41)は、2ヶ月に1度、大阪市内で開かれるTAVの定例会に、四国から高速バスに乗り、ほとんど欠かさず出席してきた。
 長男、将太郎君を7歳で失った。後を追うように妻は病死した。二重の悲観に打ちのめされた男性にとって、かけがえのない、いやしの場だったという。
 将太郎君は96年7月、当時住んでいた神奈川県平塚市で横断歩道を渡って下校中、左折してきた大型ダンプカーにひかれ、即死した。小学生になってまだ3ヶ月だった。
 「手を上げて待っとってごらん。止まってくれる。ありがとう言うの恥ずかしかったら頭下げるだけでいいから」。子供にはそう言い聞かせてきた。だが、相 手はフロントガラスの下部にアルミ板を付けた不法改造車。左側の視界は完全に閉ざされる。同じように大型トラックを運転する男性には、許せることでなかっ た。運転手(25)への判決、禁固1年6月には執行猶予がついたと聞いた。
 「腰のあたりが痛い」と妻が言い出したのは、事故から1年が過ぎたころ。子宮けいがんだった。「ストレスが体にきた」としか思えなかった。
 運転手とその勤め先を訴えた民事訴訟で、妻は「がんの治療中です」と打ち明け、涙ながらに陳述書をつづった。いつも「お休みお母さん、大好きだよ」と言って、右腕にすがるようにして眠りについた将太郎君の、いくつもの思いで。
 〈何もいらないから、事故の前に時間を戻して欲しい、あの子のぬくもりを、優しい言葉を、笑顔、あの声を〉。
 悲痛な叫びを書面に残して、98年夏、妻は逝った。39歳だった。男性は5歳だった娘と郷里に帰った。でも、気力が出ない。スーパーに行っても、公園の滑り台を見ても、妻子の面影が浮かび、胸が締め付けられる。仕事が手につかず、不眠に悩まされる。
 TAVに入ったのは、そんな日々が続いていたころだ。定例会に顔を出し、思いのたけを語り合った。人の話しを聞いては涙した。
 「憤り、悲しみ、やりきれなさ。言葉で言い尽くせないものがある。それを聞いてもらえるだけで、心が休まるんです」
 そうして1年。先月、新たな職に就いた。完全に立ち直れたわけではない。だが、「どうにか社会復帰ができたような気がします」と言う。
 4月、娘が小学校に入学する。
 
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