悪質な加害者ほど行政処分を免れるのはどうして?

平成13年05月16日 弁護士 松 本  誠


 交通死亡事故が起これば,当然に加害者には刑事処分と行政処分がなされます。
 ところが、今までは行政処分については被害者の方ではこれを知る事がほとんど出来ませんでした。公安委員会に行っても教えられないのか、被害者遺族がこれを知るのはほとんどないのが実情でした。遺族の声が多かったのか、ようやく昨年より被害者や遺族が公安委員会に問い合わせれば、どんな行政処分かを知る事ができるようになりました。この背景には警察官による行政処分のもみ消しの発覚がありました。
 そして最近これを利用した遺族から相談を受けるのは、加害者の行政処分がおかしいというものです。例えば、時速60キロオーバーであるにもかかわらず、速度違反の事実が行政処分の対象外となっていて、死亡と前方注意違反で処理されている。この事件は刑事裁判までなっており、しかも実刑の事件でして、懲役1年の判決が確定している悪質な事件です。にもかかわらず、この事件の行政処分は60日の免許停止のみであり、免許取り消しではなかったというのです。
 不当なのです。時速を60キロオーバーしての一般道での死亡事故であるのにです。なぜ行政処分の対象に60キロオーバーがなかったのか? すると刑事裁判でもずっと争っており、確定した速度違反の事実が明確でなかった、と言う事がわかりました。行政処分時に明確でなかったからでしょう?
 しかし、60キロオーバーの刑事裁判が確定しているのですから、刑事裁判後に行政処分対象外とされていた速度違反について処分を下すべきでしょうが、それは出来ない、ということのようです。「すでに事件から3年も経っています」からと。
 それはおかしい! 不当ですよ! 公安委員長殿、悪質ドライバーほど助かるシステムじゃないですか! 法務大臣殿。
 すぐに法改正すべきじゃないでしょうかあ?