被疑者死亡・不起訴処分後1年での捜査書類廃棄

2001年11月10日       弁護士 松 本  誠

  相談ファイル 不起訴処分後1年で捜査書類廃棄済み 
今週はびっくりの相談がありました。システム上の根本問題に繋がることです。記録と告知の必要性から載せます。重度後遺症となった小学生のお母さんからの相談です。
 3年半前の事故でした。小学生3人が歩道を自転車で走行中、小学1年生の子が車道に転倒したところを対向車の車がその子を轢いて、その後逃げましたが、通行人からの大声でそのトラックはすぐに引き返したという事件でした。少年の症状固定は事故から3年経ってからのものでした。自賠責請求、そして裁判という段階にきました。
 弁護士さんを通じて検察庁へ問い合わせたところ、事故の態様も問題ですが、加害運転手が事故後ガンで死亡したために捜査記録が検察へ送検された後、不起訴(理由ははっきりはしないが電話確認したところ被疑者死亡で不起訴)処分後、検察庁が不起訴処分後1年で捜査書類をすべて廃棄処分した、というのです。
弁護士には調査だけという依頼だったというのですが、その後紛争処理センターに行って申し立てをしたもののセンターからは『勉強してきてください』と言われて、何を信じていいのか分かりませんと言う相談でした。
 紛争処理センターが損保の代行機関である問題は置いておくとして、検察庁の記録を1年で廃棄したと言う問題は放置できない問題です。被害者は証拠保全できないシステムとなってます。警察が独占して捜査するからです。独占した上で捜査の情報は一切被害者にも教えないシステムとなってます。被害者はある意味で捜査を警察に調査を委託し、警察はそれを独占しているのです。
 それを加害者死亡したから、記録を一切廃棄とする、これは許されることでしょうか?
被害者がこれから戦わなければならない民事裁判の証拠資料がすべてなくなっているのです。そのとき自分達で調べておこうとしても警察や検察の独占により排除されていたわけです。民事の立証活動や証拠の収集が。それが今、まったく不可能となったのです。実況見分調書も。捜査報告書もすべて。加害者の言い分も書かれた供述調書も本人が死亡しているためにこれを明らかにすることは出来なくなりました。
これから始まる裁判は損保が有利に作った資料でたたかわなければならない。こんな不条理が許されていいのでしょうか?

以上。