元職員が飲酒運転で死傷事故を起こし、兵庫県内の自治体に厳罰化を広げる契機となった姫路市が、「二日酔い」のケースに頭を抱えている。先月、酒気帯び運転容疑で逮捕された別の職員は、供述によると、飲酒の約二十四時間後にアルコールが検出された特殊な事例。「飲酒運転は原則免職」と定めたものの、同市をはじめ県内の他の自治体も「二日酔いは一律に考えられないのでは」と歯切れが悪い。しかし、タクシー会社や事故被害者らは「姿勢が甘い」「言い訳は通用しない」と批判的だ。
十一月二十四日午後七時ごろ、休日だった姫路市消防局の消防司令補(59)が酒気帯びで車を運転し、速度違反で現行犯逮捕された。呼気一リットル当たり〇・一五ミリグラムのアルコールを検出。司令補は「前日の夜に、日本酒をコップ四、五杯飲んだ」と供述しているという。
同市は元職員の事故後、アルコール濃度が〇・一五ミリグラムを下回るのに必要な時間の目安を職員に提示。だが、長時間経過後の検出は想定しておらず、市幹部は「晩酌を控えるように注意するしかないのか」とこぼす。
十月に設けた新基準では、酒気帯び運転は原則免職。ただし、「特段の事情がある場合は停職」との条件を盛り込んでいる。供述通りならば、今回はその範囲内とみており、本人から事情を聞いて処分を決めるという。
厳罰化を打ち出した兵庫県も「飲酒の翌日などで、運転者が酒気帯びと知らなかった場合」は、急病人搬送や災害時と同様に処分を軽減。「機械的に当てはめるのは難しい」との考え。
事故の有無にかかわらず、酒気帯びはすべて懲戒免職という重い基準を定めた明石市は、「長時間たってもアルコールが残るようなケースは想定していない。常識で考えるしかないが…」と戸惑う。
一方、県タクシー協会は「どの会社でもドライバーは業務前に必ず検知器で測定し、少しでもアルコールが検出されれば運転できない。『二日酔いだから』という言い訳は通用しない」。
交通事故で家族を失った遺族らでつくる「交通死被害者の会」事務局の森本祐二さん(川西市)は「法的基準が決まっているのだから、自治体は厳格に適用すべき。二日酔いに寛容なのは、飲酒に甘い日本社会の表れだ。アルコールは翌日も残り、運転に影響を及ぼすという事実を皆が認識する必要がある」と話している。