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[2006年 12月 23日]
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いのちと向きあう:川口・保育園児死傷事故/2 平井萌奈ちゃん(5) /埼玉

 ◇最期も絵本読んであげ 無謀な運転、法律に納得できず

 来春からの小学校を楽しみにしていた平井萌奈(もえな)ちゃん(5)は初めて会った人にも可愛がられる、明るくて心のきれいな子。虫捕り網を持って一日中遊ぶほど生き物が大好き。母友佳さん(24)に「命は大事だね。一個しかないんだよ」と言っていた

 「ほんとだね。大事だね」って言ってあげたいです。萌奈のいない現実を一生背負うのかという思いと、「いない」気がしないという思いがあります。(子供には)車道側じゃない方を歩かせますよね。今、1人で歩道を歩いていても自然に「こっち来なさい」とか。コンビニでもドア開けて(入るのを)待ってしまう。事故の直後は「もういないのか」と思っていたけど、今は「きっとここにいる」と。そう思うんです。

 「1年生になったら、学校でお勉強すんねんな。宿題もしなあかんな」ってうれしそうにしてました。「ランドセルの色、もう決めてんねん」って言うから、「何色?」と聞くと、「うーん(店に)行ってから」って。

 事故の日の朝、普段は元気に「行って来ます」という萌奈ちゃんが、腰にしがみついて「ママと離れたくない」とむずがったという。友佳さんは職場で事故を知らされ、病院に向かった

 「ママ、来るの遅い」ってすねてると思っていたら、ICUで横になっていました。頭が真っ白になり……、覚えてないです。「意識の回復はない」って言われても、すやすや寝ているようで。好きだった絵本をずっと読んであげていました。私が文章を読んでカギカッコの中を萌奈が読む、いつも読んでいた絵本があるんです。息を引き取る瞬間も絵本を読んでいました。

 初めは萌奈のことしか頭になくて。それでも、事故当日に2人亡くなったことを聞いて「加害者は一生(刑務所を)出て来られないだろう」と漠然と感じていました。それが業務上過失致死傷罪で懲役5年以下もあると聞いた時の衝撃。「あり得ない。そんなこと許されるのか」という衝撃。怒りや恨みではなく衝撃です。

 友佳さんにとって、井沢英行被告は「会ったことも見たこともない架空の人物」。恨む気持ちは起こらないという

 順を追って考えれば怒りはわいてきます。だけど、それよりも本当に法律がおかしい。世間には「あんな運転して人を殺しても『脇見』と言えば過失で済む」と思ってほしくない。無謀な運転をすれば科せられる刑も重くなると。法律に納得できず、悔しい思いをしている人がたくさんいることを知りました。法改正を求める署名集めをやっていても、むなしさを感じることはありますが、私たちにそれを託した人がいる。あれほど騒がれた大きな事故だからこそ自分たちにしかできないんだと思います。ドライバーはハンドルを握る意味と怖さをもう一度考えてほしい。=つづく

毎日新聞 2006年12月20日

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