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[2006年 12月 23日]
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いのちと向きあう:川口・保育園児死傷事故/3 福地悠月ちゃん(5) /埼玉

 ◇歌っていた曲、聴かせた−−地検の説明には納得がいかない

 にぎやかでおしゃべり好き。甘え上手な福地悠月(ゆづき)ちゃん(5)は人見知りしない子。父禎明さん(37)は「知らない人に付いて行くんじゃない」とハラハラしていた

 「パパ、たばこ臭いっ」とか「またお酒飲んでる」とか。第二の妻みたいで。いつもしゃべっているか笑っているか歌っているか。食事中もしゃべってばかりだから食べるの遅くて。静かなのは眠っている時かいない時。悠月がいなくなったから本当に静かに……と言っていいのかな。知らない人にも平気で話しかけてました。

 事故の日の朝もおしゃべりばかり。「早く食べろ」としかると悠月ちゃんは笑った。禎明さんが見た最後の笑顔だった

 病院で主治医から説明がありました。聞きたいことがいっぱいあるのに言葉が出てこない。やっと出てきたのが「回復の見込みあるんですか」。「残念ながら」と言われました。妻(智子さん)は付きっきりでしたが、私は悠月の顔を見たら頭がおかしくなりそうで。逃げるように病院をうろうろしたり、夜中に事故現場に行ったり。どんな状況だったのか知りたかったんです。

 いつも歌っていたラブandベリーとかポケモンの曲を聴かせてあげると血圧が少し上がり、心電図に反応がありました。聞こえてるの? と。亡くなった時は1週間もよく頑張ったね、もう苦しまなくてすむねって。何でこんな目に遭わせちゃったのか。運転手が許せなかった。

 さいたま地検は10月、井沢英行容疑者(38)を業務上過失致死傷罪で起訴した。だが、禎明さんは「地検の説明に納得いかない」と話す

 井沢被告の供述が信用できない。トイレに行こうとコンビニを探し、初めて事故現場の道を通ったと言ってますが、あの脇道はコンビニがあることを知らなければ通らない。普通は大通りを行く。左折してすぐカセットを操作した(ため園児の列に気付かなかった)とも言ってます。私、何度も走ってみましたが、前を見ずにあの細い道を時速55キロで走るのは無理です。(衝突前に)40人の園児の列を必ず見ているはずです。

 これほどの事故だから徹底的にうそや悪質さを捜査してもらえると思ったんですが……。検事さんに「(危険運転致傷罪では)立件できない。法律だからしょうがない」と言われました。

 4家族は井沢被告への危険運転致死傷罪の適用と、適用基準の拡大を訴えて街頭に立っている。署名はもうすぐ4万人に達する

 私たちはたった一人の娘を失いました。何年たっても悔しさは消えませんが、こんな悔しい思いをする人は少しでも減ってほしい。それがせめてもの願いなんです。今回、もし危険運転致死傷罪が適用されれば、他の悪質なドライバーも気を引き締めるんじゃないか。法律が変われば4人の子の死に意味を持たせることもできるんじゃないかと思うんです。=つづく

毎日新聞 2006年12月21日

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