飲酒運転への厳罰化を柱に、28日に公表された警察庁の道交法改正試案。飲酒運転の車への同乗者や、酒類を提供した店にも罰則を設けた内容に、交通事故で家族を亡くした遺族らは評価する一方で、飲食店主らは「客足が遠のくのでは」と複雑な表情を浮かべた。
改正試案について、交通事故の遺族らでつくる「交通死被害者の会(TAV)」事務局の森本祐二さん(52)=川西市=は「同乗者への罰則やひき逃げへの罰則強化はそれなりに厳しい内容。一定の効果はあるだろう」と評価。その上で「道交法だけでなく、刑法でも業務上過失致死傷罪の懲役を引き上げるなど、交通事故をめぐる全体的な法制度改正につながってほしい」と期待を込めた。
二人の子どもを持つ神戸市東灘区の男性会社員(39)は「痛ましい事故が多く、自分の子どもが被害者になることを考えても厳罰化には賛成。もっと厳しくてもいい」と話した。
一方、同市兵庫区の飲食店の女性店長(47)は「罰則は厳しいに越したことはない」としつつも、「(今年六月に)路上駐車の取り締まりが強化された後、確実に客が減った。営業面を考えると手放しでは喜べない」と渋い表情。「車で来た人にお酒を出さないようにしているが、飲酒運転かどうか分からないこともある」と話していた。
シートベルト後部も義務化
警察庁は二十八日公表した道交法改正試案に、自動車の後部座席のシートベルト着用を義務付けることも盛り込んだ。高速道路で違反した場合、ドライバーに行政処分の点数一点を付加する。
昨年一年間に起きた交通事故で、後部座席のシートベルトを着用していなかった人の致死率は着用していた人の約四倍に上っている。
しかし現行法では、着用は努力義務にとどまっており着用率は低い。警察庁と日本自動車連盟が十月に実施した調査では、一般道での着用率は運転席が93・8%、助手席が83・4%だったのに対し、後部座席はわずか7・5%だった。
警察庁は二〇一〇年までに後部座席の着用率を50%以上にするとの目標を掲げており、義務化に踏み切った。違反点数の付加は、当面は被害軽減効果が大きい高速道路を対象にし、効果を見ながら一般道への適用拡大も検討する。