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被害者参加制度:来秋導入へ閣議決定 刑事訴訟法改正案
政府は13日、犯罪の被害者や遺族が公判に出席して被告への直接質問などができる「被害者参加制度」を創設する刑事訴訟法改正案を閣議決定した。施行は「公布後1年6カ月以内」とされ、今国会で成立すれば、裁判員制度より半年ほど早い08年秋ごろにスタートする見通しだ。 法案によると、裁判所が許可した被害者らは「被害者参加人」として法廷のさくの内側に座り、被告や情状証人に質問したり、検察側の論告と同じように事実関係について意見を述べられるようになる。殺人、強姦(ごうかん)、業務上過失致死傷など一定の重大犯罪が対象となる。 被害者が刑事裁判に併せて被告に損害賠償請求できる「付帯私訴制度」の導入も法案に盛り込まれた。有罪判決が出た後に、同じ裁判官が4回程度の簡易・迅速な審理で賠償額を決定する仕組み。刑事裁判の証拠を利用するため被害者側の立証負担が軽くなるとされ、申立手数料も2000円に抑えた。対象事件は被害者参加制度とほぼ同じだが、過失犯は除外した。 このほかの被害者施策として、法案には(1)被害者による公判記録の閲覧・謄写の原則容認(2)性犯罪被害者の氏名を公判で明らかにしない措置の明記(3)法廷外の別室からモニターを通じて証言するビデオリンク方式の民事裁判への導入−−が入った。【森本英彦】 ◇法曹界から慎重論も 犯罪被害者が公判で被告に質問できる「被害者参加制度」を盛り込んだ刑事訴訟法改正案が13日の閣議で決まった。刑事裁判の在り方を大きく転換する制度だけに、「被害者にとって前進」という評価がある一方、法曹関係者や被害者の一部からは反対・慎重論も出ている。今後の国会審議でも制度導入の是非が議論になりそうだ。 「刑事裁判が報復感情に支配されかねない」。日本弁護士連合会が9日に開いた集会で、高野嘉雄副会長は強い口調で懸念を表明した。「被告から意に沿わないことを言われ、冷静になれる被害者はいない。被告の側も、萎縮(いしゅく)して十分反論できなくなる恐れがある」と高野副会長は指摘した。 97年に交通事故で息子を亡くした片山徒有(ただあり)さんも、法廷で被告から逆に落ち度を指摘されることによる「2次被害」を心配する。片山さんらは、制度導入に反対する「被害者と司法を考える会」を結成した。 法案は、被害者が質問する際には、事前に内容を明らかにした上で検察官を通じて申し出て、裁判所が許可する仕組みを採用した。しかし、日弁連幹部は「検察官や裁判官が、質問をしたい被害者に『だめだ』と言えるわけがない」と言う。 与党内にも慎重論がある。自民党の法務部会では、「混乱を避けるため、被害者参加制度の導入は裁判員制度が定着してから議論しても遅くはない」という意見も出た。国民から選ばれた裁判員が、被害者の強い感情を前にして冷静な判断ができるのか−−という問題意識に立ったものだ。 こうした懸念に対し、全国犯罪被害者の会(あすの会)の岡村勲代表幹事は「被害者参加が実現しているフランスやドイツで、法廷が混乱したという話は聞いたことがない」と反論。「厳しい制約はあるが、質問権が認められたのは大きな前進だ」と、制度導入を強く求めている。 長勢甚遠法相は13日の閣議後会見で「法廷が混乱しないような措置を講じた法律になっており、早期に成立させていただきたい」と述べた。【森本英彦】 毎日新聞 2007年3月13日 12時44分
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