【愛知】娘の交通死、遺族の苦しみ切々と 名古屋の佐藤さんが本出版2007年9月4日
中学1年生だった二女=当時(12)=を交通事故で失った名古屋市名東区の佐藤逸代さん(44)が、事故の捜査や裁判などを通じて悲しみと闘う日々を描いた本「ある交通事故死の真実−12年と4カ月の贈り物」(新風社、B6判、141ページ)を出版した。感情をあえて抑え、冷静な筆致でつづった。佐藤さんは「単なる追悼本ではなく、多くの遺族が抱える苦しみを知らせ、交通事故の悲惨さを訴えたかった」と話している。 (長田弘己) 二女の有希さんは二〇〇五年七月十七日朝、名東区丁田町の国道交差点で、衝突事故の巻き添えにあった。赤信号を見落として交差点に突入した車が、青信号で直進してきた車の側面に衝突し、そのはずみで衝突された車が歩道で信号待ちをしていた有希さんらをひいた。即死だった。一緒にいた友人は重傷を負った。中学のソフトテニス部の試合に二人で行く途中だった。 佐藤さんは電話で事故を知り、病院へ駆け付けた。「パンパンに腫れ上がった有希のおなかをさすり、ほおをなで、唇に何度も、何度もキスをしました」と、事故後の混乱した状況について書いた第一章は、当時、欠かさずつけていた日記をベースに仕上げた。校正のため何度も読み返したが、その度に目は涙であふれた。精神的なショックからうつ病を患ったり、多量に薬を飲んで死のうとしたりしたつらい時期も。事故原因の捜査状況や裁判をめぐっての被害者遺族への配慮のなさにがくぜんとし、「遺族が抱える闇は、本当の意味で何も理解されていない」とも書いた。 「娘の死について、自分の中で整理をつけようと書き始めたが、書くうちに前向きになることができた」と佐藤さん。 五百部刷った初版はほぼ売り切れたため増刷し、九月上旬から主な書店の店頭に並ぶ。一部は保険会社の教材としても採用されたという。
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