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大阪・城東区の交通事故死:「不起訴」…時効あと5日、母の闘い 2度目の申し立て

 ◇「息子の無念晴らす」

 息子をバイク事故で失った母親が、衝突相手の車のドライバーを起訴するよう求め、1日、大阪第一検察審査会に2度目の審査を申し立てた。最初の申し立てに対し同審査会は今年3月「不起訴不当」の議決を出したが、検察は先月27日、ドライバーを改めて不起訴処分とした。業務上過失致死罪の公訴時効は今月7日に迫っており、残された時間はほとんどない。事故から5年、息子の命を奪った事故の本当の原因を捜し続けてきた母親は「時間はないが、審査会の存在意義を示して」と訴えている。【樋口岳大】

 事故は02年10月7日、大阪市城東区の国道1号交差点で発生した。直進していた専門学校生、楠田俊英さん(当時19歳)のオートバイが、20代の男性が運転する右折乗用車に衝突し、楠田さんが死亡。車の男性は「青色矢印信号で右折した」などと主張し、大阪地検は男性を不起訴にした。

 これに対し母佳寿代さん(48)=京都府京丹後市=が「一方的な言い分だけで不起訴が決まり納得できない」として、独自に“捜査”に乗り出した。佳寿代さんは自宅から数時間かけて何度も現場を訪れた。そして、自分で目撃者を見つけ出し、新たな不審点が浮かび上がった。

 佳寿代さんは、こうした情報を基に、昨年9月、同審査会に審査を申し立てた。

 同審査会は(1)乗用車に男性の証言になかった同乗者がいた可能性がある(2)男性の前方不注視の可能性もある−−などとして、今年3月「不起訴不当」を議決。だが大阪地検が先月27日になって出した結論は、今度も「不起訴」だった。

 2度目の審査を申し立てた佳寿代さんは1日、「裁判が開かれなければ、事実は何も分からないまま。息子も(信号無視との)疑いをかけられたままになる」と話した。

 一方、同審査会事務局は「早期に審査会議を開くよう努力するが、招集にも時間がかかり、会議が開かれずに時効を迎える可能性もある。時効になれば審査はできない」と説明している。

 ◇「交通事故を軽視」検察に批判も

 交通事故の遺族が捜査資料や関係者供述を知りたいと望んでも、初公判が済まないと情報開示はなく、起訴されなければ、情報を得る機会すらない。楠田佳寿代さんらが「裁判で真実を明らかにして」と訴える理由の一つでもある。

 交通事故に関し運転者が業務上過失致死傷罪などで起訴される割合は05年で10.7%。一般刑法犯の46.8%と比べ、格段に低い。起訴に消極的な検察の姿勢を、事故遺族らは「交通事故軽視」「検察による門前払い」と批判する。

 交通事故被害をめぐっては、97年に東京都世田谷区でダンプカーにはねられ死亡した片山隼(しゅん)君(当時8歳)の事件が広く知られる。検察は当初、運転手を不起訴処分にした。しかし母親らの熱心な訴えに、検察側は不起訴を取り消し、その後運転手は起訴され有罪となった。

 だが、岡山市で02年12月、短大生の中桐裕子さん(当時19歳)が自転車で帰宅途中に飲酒運転の軽乗用車にはねられ死亡した事故では、検察が2度にわたって業務上過失致死罪を不起訴としたのに対し、検察審査会は2度「不起訴不当」を議決。現在、検察側の3度目の判断が待たれている。

 中桐さんの父裕訓さん(56)は「背景には『一度決めた処分を覆すことはできない』という検察の権威主義がある。一般市民で構成される検察審査会の議決をもっと重く受け止めるべきだ」と指摘している。

毎日新聞 2007年10月2日 大阪朝刊

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