交通事故撲滅の風よ吹け、遺族が国内認知へ風車手に──あす18日「世界犠牲者の日」2007/11/17配信
兵庫県川西市の森本祐二さん(53)と妻の千賀子さん(50)は今月13日、同県芦屋市の交差点近くの歩道に黄色の風車と白い花を置き、両手を合わせた。 5年前の秋、大学4年の長男の直樹さん(当時22)はバイクを運転中、乗用車との接触事故に巻き込まれ、帰らぬ人となった。「事故で年間1万人の命が失われる中で、私たち遺族が声を上げていかなければ、全国各地で同じ悲しみが繰り返されてしまう」。森本さん夫婦は静かに語る。 「世界交通事故犠牲者の日」の啓発に取り組んでいるのは、森本さんらの所属する「TAV交通死被害者の会」(大阪市)と「交通事故被害者遺族の声を届ける会」(川崎市)の2団体。 1993年に英国の非政府組織(NGO)が提唱した「犠牲者の日」の運動は瞬く間にヨーロッパを中心に広がった。事故現場に犠牲者の靴などを並べてドライバーに安全運転を訴えかけるなど、取り組みの内容は様々という。 TAVなどは、キャンペーンのシンボルに黄色の風車と白い花を使う。風車を考案したのは埼玉県の会社員、真砂佳典さん(58)で、長男の晃さん(当時23)が2004年に事故に遭った現場に慰霊で飾ったことを伝え聞いた関係者から「啓発のシンボルに」との声が上がったという。 「事故撲滅の風を起こしたい」との願いを込めた風車を各地の現場に置いてもらう目的で、切り抜いて組み立てる型紙(A4判)1000枚を作製。連絡を取り合っている他の遺族団体に配ったほか、各都道府県の知事あてにも郵送した。 TAVのメンバーらは17日午後に大阪市で、18日午後には名古屋市で「犠牲者の日」の啓発用チラシとポケットティッシュを配布。チラシには「遺族のためだけでなく、あなたとあなたの家族の命を守るためのものでもあるのです」とのメッセージを記した。ハンドルを握るドライバーの心に訴えかけることが、根本的な問題解決になると信じているからだ。 直樹さんを失ったショックもあり、森本さんは事故の翌年、会社を辞めた。心の傷は決して癒えないが、TAVと出会わなければ、「前向きに生きよう」と考え、啓発を呼び掛ける今の姿はなかっただろう。 「国や自治体が犠牲者の日に合わせて慰霊祭を開くなど、機運が盛り上がってほしい」。森本さんはこんな思いも胸に、今秋一番の冷え込みとなった大阪市内の繁華街に立つ。
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