ニュース:事件 RSS feed
【主張】危険運転罪 法の改正に着手すべきだ
福岡市東区で昨年8月、幼児3人が死亡した追突事故で、危険運転致死傷罪などにより懲役25年が求刑された裁判について、福岡地裁は福岡地検に、予備的訴因として業務上過失致死傷罪などを追加するよう命令を出した。
これは、裁判所が危険運転致死傷罪を適用するのは困難と判断したことを意味しており、同罪については無罪の可能性が強まっている。
公判はすでに結審し、判決も来年1月8日に言い渡されることになっていただけに、この異例の地裁命令には、疑問を抱かざるを得ない。
被告は飲酒運転のうえ、追突後に逃走、水を大量に飲んで酔いをさまし、現場に戻るという悪質なものだった。検察側が危険運転致死傷罪と道交法違反(ひき逃げ)を併合、最高刑の懲役25年を求刑したのも当然である。
しかし、弁護側は「正常な運転ができないほどではなく、わき見運転によるものだ。社会的制裁も受けている」と反論し、業務上過失致死傷罪(わき見運転)の適用による執行猶予付き判決を主張していた。
危険運転致死傷罪ではなく、業務上過失致死傷罪が適用されれば、道交法違反(酒気帯び)との併合で、最高でも懲役7年6月と量刑は大幅に引き下げられるわけで、国民感情とはかけ離れた判決が予想される。
今回の裁判も、飲酒運転に危険運転罪を適用するためのハードルが高すぎることを浮き彫りにした。
同罪は事故当時、運転できないほど酒に酔っていたことを立証しなければならず、施行当時から現場の警察側では、立証要件が厳しすぎるという問題点が指摘されていた。
飲酒運転を厳正に処罰する目的の法律が、法体系の厳格化で生かされないという矛盾が出ており、早急に同罪の改正に着手すべきである。
また、理解に苦しむのは裁判所側がすべての審理を終え判決の直前になって、訴因変更を命令したことだ。
結審後に3裁判官の間で議論があったと推測されるが、訴因変更を求めるのなら、もっと早い段階で行うのが妥当だろう。
これほど明確な危険運転による痛ましい事故はないというのが、社会一般の常識的見方ではないか。