◇「一括支払い」に肩落とす両親−−酒気帯び運転の車にはねられ女児死亡
二戸市で00年に酒気帯び運転の軽トラックにはねられ死亡した大崎涼香さん(当時7歳)の両親らが起こした裁判で盛岡地裁二戸支部は22日、兄2人への慰謝料は認めたものの、涼香さんの逸失利益を毎年の命日ごとに払う定期金方式は認定せず、被告側に一括での支払いを命じた。「加害者に事件を忘れてほしくない」という思いを込めていた大崎昌幸さん(44)、礼子さん(41)夫妻は「加害者が被害者に向き合うことを強制できないからこそ認めてほしかった」と肩を落とした。
判決で吉村美夏子裁判官は「(涼香さんが生きていれば得ていたはずの収入を算定した)逸失利益は被害者が亡くなった時に発生し、それが相続人に引き継がれる。定期金方式はなじまない」と判断した。
さらに「被告が命日を忘れないことは、法律的な強制の及ぶところではない。加害者を問い続けたい気持ちはもっともだが、それが支払い方法で解決されるのかは疑問」と述べた。
定期金方式が認められない場合、逸失利益から差し引かれる中間利息額を通例の年率5%から3%にして一括払いを求めた原告の主張は「事案ごとに値を左右すると公平感などを損なう危険が大きい」と認めなかった。
原告側の村井三郎弁護士は「交通事故で主な稼ぎ手以外の家族が1人死亡した場合、慰謝料の総額は2000万円までが通例」と話し、慰謝料が今回計3100万円認められたことは評価した。【念佛明奈】
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■解説
◇定期金認めず、慰謝料で配慮
盛岡地裁二戸支部の判決は最近の各地の判決を踏襲し、遺族感情を考慮しても定期金方式は認められないと判断した。しかし事件の悪質さと遺族感情を理由に、あまり例がない兄2人の慰謝料を認め、慰謝料全体の額も高めにすることで全体のバランスに配慮したと言える。
定期金方式は被害者がけがを負い、将来介護費用などが毎年必要になるケースなどに認められてきた。死亡した場合の逸失利益について採用を求めるケースが出てきたのは最近だ。03年7月、東名高速道で起きた飲酒運転による女児2人の死亡事件で東京地裁が認定し、賠償の在り方に一石を投じた。
しかし03年10月の東京高裁、04年3月の大阪地裁は過去の事例や認定されてきた経緯と比較して否認した。今回の判決も理論上不可能と判断。定期金方式は認めない流れができつつある。
金銭賠償の枠の中で何ができるか、遺族の被害回復に主眼を置いた姿勢が裁判所に求められている。【苅田伸宏】
毎日新聞 2005年3月23日