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社会
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悪質運転刑罰強化へ
業過致死傷最長7年軸に
悪質な交通事故への対応を強化するため、法務省は、業務上過失致死傷罪に新たな規定を設け、運転者への罰則を引き上げる方針を固めた。法定刑の最高を現行の懲役五年から同七年とする案を軸に検討が進んでいる。危険運転致死傷罪も、四輪以上の運転に限っている適用対象を二輪にも拡大する方向だ。同省はこれらを盛り込んだ刑法改正の要綱案を二月の法制審議会(法相の諮問機関)に諮問する。
業務上過失致死傷罪(懲役・禁固五年以下または百万円以下の罰金)は昨年春の法改正で罰金の上限が二倍となったが、刑期の引き上げは一九六八年に最長三年から同五年に見直されて以来。
重大な人身事故をめぐっては、故意に悪質・危険な運転をした運転者を対象に、最高で懲役二十年を科す「危険運転致死傷罪」が二〇〇一年に創設された。
ただ、運転者が飲酒で酩酊(めいてい)状態だったり、危険な速度を出していたなど厳格な要件を要するため、〇五年に同罪で立件された交通事故は二百七十九件にとどまる。
業務上過失致死傷罪の罰則引き上げは、危険運転致死傷罪から外れるものの、脇見運転など運転者側に重大な過失がある場合、重く処罰できるようにするのが狙い。同罪の対象は、医療事故など多岐にわたることから、罰則引き上げは特別に条文を設け、交通事故に限定する。
一方、危険運転致死傷罪は、現行では二輪車が対象外になっている。オートバイやバイクの死亡事故が自損によるものが大半で、歩行者らが被害に遭うケースが極端に少ないことなどが理由だが、二輪車の事故の被害者側の不公平感は強く、「中途半端だ」との批判もあることから対象に加える。
飲酒運転対策としては、警察庁が昨年末、飲酒運転者への罰則引き上げや、同乗者にも新たに懲役刑を科す道路交通法改正試案を発表している。
■被害者の叫び国動かす
<解説> 悪質な交通事故対策として、業務上過失致死傷罪の刑期が約四十年ぶりに引き上げられる見通しとなった。現行制度に対する被害者側の強い不満が、法務省を突き動かしたといえる。
危険運転致死傷罪の法定刑が最高で懲役二十年なのに対し、業務上過失致死傷罪は運転者が何人死なせても、刑は懲役五年前後。この処罰内容の大きな格差は以前から問題視され、被害者団体が是正を求め署名運動を展開してきた。
重大な人身事故をめぐっては、昨年八月に福岡市で幼児三人が死亡した飲酒運転事故をきっかけに、運転者の厳罰化を求める世論が高まった。
これを受け、警察庁が昨年末、道路交通法の罰則強化案を公表。正常な運転ができない「酒酔い」の法定刑の最高を、懲役三年から五年に引き上げる方針を示した。
道交法の罰則は二〇〇一年にも強化された。本来、交通秩序の維持を目的とした道交法の厳罰化が進み、刑法との間で罰則をめぐる「逆転現象」が起きつつあった。法務省の方針決定の背景には、こうした法体系のアンバランスをただす意図もあるとみられる。
ただ、今回の法務省案が悪質な交通事故抑止の即効薬になるかどうかは不透明だ。ある法務・検察幹部は「業務上過失致死傷罪は、過失犯が対象。罰則を強めても防止には限界がある」との見方を示している。
技術の進歩によって、飲酒運転者が運転しようとしてもエンジンがかからない自動車などの開発が進んでいる。過去に重大な過失による交通事故を引き起こした運転者にはこうした車種でしか運転できなくするなど、総合的な対策が求められる。 (鬼木洋一)
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