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特殊ゴーグル 「運転教習」

2008年11月30日

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ゴーグルを手に「飲酒運転の怖さを大勢の人に体験してほしい」と話す小沢樹里さん=東松山市の自宅

◇装着するだけで酒酔い状態体験

 飲酒状態を簡単に体験できる特殊なゴーグルを自動車運転の教習に導入してほしいと、飲酒運転事故に見舞われて両親を失った遺族が訴えている。特殊ゴーグルは掛けるだけで、「ほろ酔い」にも「泥酔」にもなれる。「事故を防ぐには、ドライバーの意識改革が必要。これなら酔いの怖さが分かるはず」。切実な声に、県警も耳を傾ける。

◇「意識のマヒ体験を」

 東松山市に住む会社員小沢克則(32)さんと妻樹里さん(28)は9月、県庁と県警を訪れ、県内の各教習所に特殊ゴーグルによる講習を取り入れてもらうよう、要望書を提出した。夫妻の両親は今年2月、熊谷市を車で移動中、泥酔状態の男が運転する車に正面衝突され、命を落とした。

 「これ以上、飲酒運転の犠牲者を出したくない」との願いが次第に強まり、「酒を飲むと想像以上に脳がマヒしてしまうことを、多くの人にわかってほしい」と考えるようになった。県警からは「導入に向けて努力する」との回答があったという。

 夫妻の自宅には、6個の特殊ゴーグルがある。取扱業者から無償で借り受けた。

 ビール大瓶1本(血中アルコール濃度0・06%未満)を飲んだ場合の「爽快(そう・かい)期」▽同2本(同0・1%)の「ほろ酔い期」▽同5本(同0・2%)の「酩酊(めい・てい)期」――の3種類に、それぞれ「昼」と「夜」の仕様があった。

 「爽快期」の「夜用」を着けてみると、少し視界が狭く感じるものの、歩くにはさほど支障はない。ところが、樹里さんに「ここにあるペンを取ってみて」と言われ、手を伸ばすと、ペン全体をつかんだつもりが先っぽだけで、手からすべり落ちた。距離感がつかめなかった。

 「酩酊期」の「夜用」では、視界は一気に狭くなり、立ち上がった時によろけ、壁に手をついた。床の木目に沿って歩いてみたが、真っすぐのつもりが左方向に向かっていく。1分もすると、頭がガンガンしてきた。

 樹里さんが言う。「こんな状態で運転したら、どう思いますか」

 特殊ゴーグルを夫妻に貸している「日本スリービー・サイエンティフィック」(新潟市)の品田健志専務によると、ゴーグルは米国からの輸入品で、1個2万9980円。夫妻が持っている3種類とは別に「泥酔期」など計5種類がある。福岡市で06年8月、3児が犠牲になった飲酒事故を機に、全国の交通安全協会などから注文が増えたという。

 「羽生モータースクール」(羽生市砂山)は、数少ない酩酊模擬体験ができる教習所だ。主にプロドライバーの講習で使っているという。五十幡和彦社長は「実際に飲酒してしまうとどのくらい酔っているかわかりにくい。ゴーグルは、すぐにしらふに戻れるので、危険な状態と比較しやすい」と話す。

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