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被告に"逆転"実刑判決 富田林ひき逃げ 大阪高裁1審破棄

「裁判に参加した意味があった」と語る遺族ら=大阪市北区(池田進一撮影) 大阪府富田林市で平成19年に起きた死亡ひき逃げ事件で、自動車運転過失致死罪に問われた同府羽曳野市の建設作業員、市瀬篤史被告(36)の控訴審判決公判が15日、大阪高裁であった。森岡安広裁判長は「被告の飲酒運転を軽視するわけにはいかず、1審の量刑は不当に軽い」として、懲役2年6月、執行猶予4年とした1審大阪地裁判決を破棄し、懲役1年4月の実刑を言い渡した。

 市瀬被告は飲酒運転では起訴されておらず、1審は量刑に反映できないと判断。被害者の遺族は控訴審でも実刑を強く求めていた。

 森岡裁判長は判決理由で「ビールや焼酎を相当飲んでおり、犯行に至る経緯としては悪質」と指摘。現場から逃走し、逮捕まで約2カ月間出頭しなかった点も「犯行後の犯情が悪く、量刑に考慮すべきだ」と述べ、すでにひき逃げによる罰金刑が科されたことを考慮した1審の見解を「賛成できない」とした。

 その上で量刑を検討し、「刑事責任は相当重く、反省をさらに深めているなど酌むべき事情を十分考慮しても、実刑をもって臨むべき」との判断を示した。

 判決によると、市瀬被告は19年12月22日深夜、忘年会で飲酒後に車を運転。富田林市富田林町の市道で最高速度を約20キロ超過し、路上に横たわっていた運送業、長野勝成さん=当時(42)=をはね、死亡させた。

遺族「ほっとしている」

 「ほっとしている」「これまで長かった。やっと終結した」。判決後、記者会見した長野勝成さんの妻、ちえみさん(33)と姉の多村美紀さん(46)は、安堵(あんど)の言葉を漏らす一方、終始固い表情を崩さなかった。控訴審が始まる直前、実刑を求める署名を約2万6千人から集めた。「逃げ得を許さない」という一心だったが、いわれのない中傷に苦しみ、直前まで会見に応じるか迷ったという。

 また、代理人の山岸久朗弁護士は、被害者参加制度について「1審では遺族にとっての“ガス抜き”で量刑相場は変わらないのかと思ったが、2審は遺族の意見を反映した画期的な判決だった」と述べた。

 富田林死亡ひき逃げ事件の経過 堺簡裁が平成20年3月、道交法違反(ひき逃げ)の罪で罰金50万円の略式命令を出し、確定。大阪地検堺支部は自動車運転過失致死罪について不起訴処分(嫌疑不十分)としたが、堺検察審査会が起訴相当と議決、大阪地検が同12月、再捜査の上起訴した。1審大阪地裁は21年6月、懲役2年6月、執行猶予4年(求刑懲役2年6月)を言い渡し、検察側が控訴。遺族は1、2審を通じて被害者参加制度の適用を受け、実刑を求めていた。

【写真説明】「裁判に参加した意味があった」と語る遺族ら=大阪市北区(池田進一撮影)

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