法務省が28日提示した公訴時効制度の見直し案は、殺人などの凶悪・重大事件から過失による死亡事件まで、幅広く廃止や期間延長の網をかける内容となった。被害者遺族の叫びに耳を傾けた結果と言えるが、一方で重大な後遺症を負った傷害や殺人未遂事件など被害者が死亡していない事件は対象から外れた。
自公政権時代の森英介法相の勉強会も「生命侵害犯」という言葉を使い、「他の犯罪と質的に異なるという国民の正義観念の変化がある」として他の事件と別格に扱った。法制審の部会の議論は大筋でこの論点を継承している。
だが、同じ被害者・遺族に向けた施策でも、08年12月に施行された刑事裁判の被害者参加制度は殺人や傷害致死だけでなく、強姦(ごうかん)、傷害、交通事故なども対象としている。
公訴時効に限って「人が死亡したか否か」で事件の質を線引きすることには、刑罰のバランスから格差を指摘する声も上がりかねない。この点についてはこれまでの部会でも議論されているが、より理解の得られる説明が必要となるだろう。【石川淳一】
毎日新聞 2010年1月29日 東京朝刊
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